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中程度以上のうつ病にも有効なハーブ

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「中程度以上のうつ病にも有効なハーブ」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(360)

セントジョーンズワート(St. John’s Wort)は、うつ症状に有効として、特に米国やヨーロッパ諸国では人気の高いハーブです。
今までは比較的軽症のうつ病の場合によく使われていたのですが、処方薬と同程度の効果が中程度以上のうつ病患者さんに確認され、かつ副作用も少ないことが分かりました。

この報告は、英国医学誌(British Medical Journal)にドイツ医学者であるAngelika Dienel博士らが報告したものです。
今までも、St. John’s Wortが軽症のうつ病に効果があることは知られていました。

しかし、中度以上のうつ病についての効果についてはよくわかっていませんでしたので、特に中程度~重症のうつ病患者さんを対象に、St. John’s Wortの効果を調べたそうです。
研究では251名の中度以上のうつ病患者さんに、一般的に用いられるSt. John’s Wort抽出物(一日900mg)を服用した場合と、抗うつ処方薬であるパロキセチン(Paxil,1日20mg)を服用した場合の効果について比較しました。

なお、結果を正確にするため、患者さんも、またそれを投与する医師も、どちらの薬を使用したかが分からない二重盲検法を採用したそうです。

その結果、6週間後にはSt. John’s Wortを服用した人の71%が、またPaxilを服用した人の60%に効果が見られ、そのうちSt. John’s Wort群の約50%、Paxil群の35%の人のうつ症状が消失していました。 

また同時に副作用の頻度を調べたところ、St. John’s Wortを飲んだ場合は55%の人に、またPaxilでは76%の人の副作用が出たということです。なお、St. John’s Wortの副作用は、口の乾燥、頭痛、及び疲労感など比較的軽い副作用でした。

これらの結果から、St. John’s Wortは、中度~重症のうつ病に対しても、よく使用される処方薬と同様以上の効果があり、さらにその副作用の頻度も低いことが明らかになったということです。

研究者によると、比較的軽症のうつ病にはSt. John’s Wortを第一選択薬とすべきで、更に今回の結果から中程度以上の患者さんにも使用の拡大が可能としています。

しかし、St.John’s Wortでは単独使用の場合は副作用はあまりありませんが、今後様々な処方薬と併用した場合の副作用などを調べる必要があると強調しています。

特に、St. John’s Wortは抗がん剤や臓器移植後に使用される免疫抑制剤などの薬剤だけでなく、薬局などで買う事が出来る薬の効き目を悪くすることが報告されています。

従って、今後このような他の薬との併用した場合の副作用も考慮することが必要で、もし患者さんがSt. John’s Wortを服用される場合には、必ず医師・薬剤師にその旨を伝えることが重要です。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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