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「大腸癌:欧米食が悪いわけでもない。野菜を食べても予防できるわけでもない?」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(437)

最近国内で大腸がんになる人が増えてきており、死亡率は過去年で約2.3倍に増えています。

その理由として、肉や脂肪を多く食べる「欧米型」の食事が関係しているといわれており、また野菜や果物を食べると大腸がんになりにくいとされています。

ところが、大規模調査の結果によると、そのような事は見られず、大腸がんの発生とは特に関係がなさそうということですので、今日はその話題をお送りします。

1) 大腸がん:肉や脂肪を多く摂る欧米化食とは、関係がない。

これは、厚生労働省研究班(担当研究者:金美環・元国立がんセンター金美環氏)が発表したものです。

研究では、先ず1990年に、岩手、秋田、長野、および沖縄の40歳~59歳の男女計4万2,112人を対象に、飲食物44品目についての摂取頻度を調べました。

そしてその後、10年間にわたって、これらの人が実際に大腸がんにかかったかどうかを調査したそうです。

肉やバターなどを摂る量により4つのグループに分けて、大腸がんになる頻度に差があるかを調べたところ、男性の場合ではいずれもグループでも差は見られませんでした。

また女性の場合では、肉類などを最も多く食べるグループでは、最も少ないグループに比べて、結腸がんにかかる率が2.2倍高くなっていましたが、大腸組織全体でみるとやはり統計的にみると差はみられなかったということです。

漬物やタラコ、干し魚、みそ汁などでも、同様に男性では差がなく、女性で多く食べる群では結腸がんになる率が2.1倍に高まっていましたが、大腸全体のがんの発生頻度では有意な差は見られなかったということです。

特に男性で差が出なかったのは、食事よりも飲酒や喫煙の影響が大きい可能性があるということです。

2) 大腸がんの予防には、野菜や果物を多く食べてもあまり効果がない。

これも、1)と同じ厚生労働省の研究班の坪野吉孝・東北大教授が発表したものです。

全国の40~69歳の男女約9万人を対象にして、食事や喫煙などの生活習慣に関して調査し、1990年から10年間にわたって追跡しました。ちなみにこの間に、705人が大腸がんにかかったそうです。

この人々を野菜や果物の摂取量別に4つのグループにわけ、大腸がんの発生率と比較しました。

その結果、野菜あるいは果物でも、最もよく食べるグループと最も少ないグループとの間で、大腸がんの発生率に差はないことが明らかになりました。また、大腸がんを更に細かく結腸がんと直腸がんに分けても差はなかったそうです。

この研究班は以前、胃がんについては野菜や果物の予防効果がある事を確認していますが、大腸がんでは予想外の結果だったようです。

このように2つの報告はいずれも予想とは異なる結果だったわけですが、大腸がんの少なかった昔と比べて、既にすべての人の食事が欧米化しており、差が出にくかったのでは、という人もいます。

しかし、たとえ大腸がんの発生には差は見られないとしても、野菜や果物の摂取が大切であることに変わりはないとのことですので、やはり野菜や果物を多く、そしてあまり脂肪分の高い食事にはお気をつけ下さい。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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