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「アスベストの中皮腫は鉄の過剰蓄積が原因」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(372)

アスベスト(石綿)により発症する中皮腫は、鉄分が体内に過剰蓄積されることが原因!という話題です。

これは、名古屋大学の豊国伸哉教授らの研究グループがラットを使った実験でわかったもので、英国の医学誌ジャーナル・オブ・パソロジーの電子版に掲載されています。
(論文タイトル:Iron overload signature in chrysotile-induced malignant mesothelioma 著者:Li Jiang, Shinya Toyokuni等 医学誌名:J Pathology 2 AUG 2012 On line DOI: 10.1002/path.4075)

中皮腫は、肺や胃など内臓の外側にある中皮細胞ががんになる病気で、死亡率も非常に高いものです。
石綿は呼吸とともに取り込まれ、特に肺に発症することが多く、吸入後30〜40年後にがん化し、国内では2000年以降年間1000人が発症したといわれています
さらに、今後40年で10万人以上が死亡すると試算されており、発症の遅延法や予防策の開発が急務となっています。

石綿には、鉄を含まない白石綿と、鉄を含む青石綿、茶石綿の3種類があるそうですが、研究者らは、97匹のラットを3グループに分け、各石綿を腹部に投与し、その影響を調べました。
その結果、すべてのラットが中皮腫を発症することが分かりました。
また、各グループのラットの中皮腫周辺の細胞の鉄含有量を測定したところ、どのグループも健康な場合の3〜5倍の鉄を含んでいたとのことです。

白石綿は鉄を含まないため発がん性が低いとされ、今も日本以外のアジア諸国で使用されているそうですが、今回の研究で、白石綿が体内の赤血球から鉄を過剰に集めていることもわかりました。

以上の結果から、過剰な鉄が発がんの原因となっていることが明らかになり、早期に中皮細胞の鉄を取り除く治療ができれば、発症の予防や遅延につながる可能性があるとされています。

私の知り合いにも、アスベストが原因で発がんし、苦しんでおられる方がいらっしゃいます。

一刻も今回の研究成果が発症の防止に役立つことを祈ります。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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