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「教育歴とがん死亡率と関係」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(370)

もしあなたが大学卒の女性だったら、がんで死亡するリスクはかなり少ないのだそうです。

これは、米国国立がん研究所が発行している医学誌Journal of the National Cancer Institute(2009, Sep. 11th Online版)に、米国がん協会のElizabeth Ward氏が報告したものです。

研究では、がんで死亡した米国人の死亡診断書や米国国勢調査局などのデータを用いて、教育レベルと肺がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんでの死亡率を比較しました。
なお、2001年からの、25歳から64歳までの137,708人のがんが原因で死亡した人(白人、黒人を含む)が対象となっています。
その結果、教育歴の高い人では、人種や性別に関係なく、がんによる死亡率が低いことが分かりました。
その中でも最も大きな差は、12年以上の教育歴のある人と12年以下の人で、教育歴の長い人ではがんによる死亡のリスクが低かったとされています。

また、一番がん死亡率の高いのは、教育歴の短い黒人男性だったそうです。
この黒人男性に比べて、最も教育歴の高い白人では、男性で48%、女性では76%、がんでの死亡率が低いことが分かりました。一方、教育歴の高い黒人女性の場合は、黒人男性よりも死亡率が43%低くなっていました。
さらに、教育レベルが同じでも、白人に比べて黒人の方が、がん死亡率が高いことも分かりました。

以上の結果から、がんの死亡率はそれぞれの人の教育レベルに大きく影響されると結論されています。

黒人と白人の間でがんの死亡率の差があるのは、依然として人種間や社会的差別あるいは経済的な差があるためとされています。
この理由として、教育歴はその人の社会的及び経済的な状況と関係しており、医療や保健の考えかたも異なっていることが挙げられています。
例えば、禁煙、がん検診を受けること、よい栄養を摂る、運動をするなどと、がんになりやすさが関係しており、その背景には教育の受けたレベルに影響されるという訳です。
これらのことからも今回の結果は、がんの死亡率に影響する様々な因子が、予防可能であることも示しています。

もちろん、がんを患う人が教育レベルが低いとか、経済的に恵まれていないと言う事ではありませんが、健康に対する知識を高め、また、がんの予防のための健康診断等も積極的に受けることが重要と思われます。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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