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「妊娠後期の葉酸の摂り過ぎは、新生児に喘息を発生しやすくする」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(300)

母親が妊娠期に葉酸サプリメントを充分に摂る事は、新生児の神経系の欠陥の発生を防止するのに重要です。母子健康手帳にも、胎児奇形の発生予防のための葉酸の必要性(1日に400μg)が記載されています。

ところが、妊娠後期まで葉酸を摂り続けていると、生まれてくる子供が喘息になりやすくなることが分かりました。

これは、オーストラリア・アデレード大学のMichael Davies博士が、米国疫学専門誌American Journal of Epidemiology(American Journal of Epidemiology, December 15, 2009.)に報告したものです。

この研究では、喘息の発生率と、妊娠期における母親の葉酸摂取との関係を、約400組の小児と母親を対象に調べました。

その結果、12%の子供が3歳までに喘息症状が発生しており、また5歳までに肺障害も発生していました。

その内訳を詳しく調べたところ、妊娠後期にも葉酸を摂取し続けた母親から生まれた子供では、3歳までに喘息が発生するリスクが、30%程度も多くなっていることが明らかになりました。

また、3-5歳の間に発生した喘息症状の数も30%程度高かったそうです。

なお、これらの母親は、葉酸サプリメントを摂っていたのではなく、マルチビタミンの一部として1日約300マイクログラム摂取していたとのことです。

今のところ、妊娠後期に葉酸を摂取すると、なぜ小児に喘息が多くなるかの理由についてはよく分かっていません。

しかし、動物実験によると葉酸が肺組織にある免疫系の遺伝子発現を変化させることから、喘息を引き起こすアレルギー反応を強めた可能性が示唆されています。

そして、胎児の免疫系は妊娠後期に出来上がるので、妊娠後期の葉酸摂取で小児の喘息リスクが高まると考えられるそうです。

葉酸は、ほうれん草やブロッコリーなどに多く含まれていますが、母親の食事内容と喘息野間には特に関係が見られなかったということですので、やや安心です。

以上の結果は、母親が妊娠後期にも葉酸を摂り続けていると、新生児が喘息になりやすくなる事を示しています。

しかし研究者らは、このような結果があったからといって、妊娠後期では葉酸をとるのをやめるべきであるとするには未だ研究が足りなく、また妊娠早期では葉酸の摂取は重要であることを否定するものではないと注意しています。

すなわち、たとえ重要な葉酸といえども、摂るべき時を適切に選ぶ必要があるというわけです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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