アンチエイジングニュース

「放射線治療の副作用を抑えるハーブ」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(271)

抗がん治療は、抗がん剤療法、手術療法、そして放射線療法が主な治療法です。
これらの治療法は、それぞれに特有の効果はあるのですが、いずれも副作用や術後の問題が発生します。
放射線療法は比較的副作用が少ない方なのですが、それでも放射線を当てた部位の焼けるような痛みとか脱毛などがよく知られています。このような副作用が起こる原因は放射線が、たんぱく質、DNA、その他の生体分子にダメージを与えて、細胞を死滅させるためです。
さて今回、ギンコバ(銀杏、イチョウ)の葉が、この放射線ダメージを予防・軽減する可能性が報告されましたので、そのニュースをお伝えします。
これは韓国大邸の韓国放射線医学研究所のChang-Mo Kang氏が国際低用量放射線医学誌International Journal of Low Radiation誌に報告したものです(論文タイトル: Protective effect of Gingko biloba against radiation-induced cellular damage in human peripheral lymphocytes and murine spleen cells. International Journal of Low Radiation, 2009; 6 (3)koron 209)。
ギンコバは現在ハーブサプリメントとして市販されており、アルツハイマー痴呆の予防など、様々な効能が知られています。実際、ギンコバの葉には糖やテルペンからなる抗酸化物質が多く含まれており、これが効果の源と考えられています。

研究では18歳~50歳の健康な人から、白血球やリンパ球を採取し、実験材料としました。そして集めた細胞の半数を市販のギンコバエキスで、残り半数は対照として食塩水で処理しました。ついで、白血球に放射線のセシウムによるガンマー放射線を当てて、顕微鏡観察をすることにより、放射線によるダメージや細胞死(アポトーシス)などが発生しているかどうかを調べました。

その結果、ギンコバエキスで処理した場合には、細胞死が顕著に低下していることが明らかになりました。
対照の細胞では、白色球の1/3が細胞死を起こして死滅していたのに対し、ギンコバ処理したものでは、死亡率は1/20となっていました。
また、マウスの生体を用いた動物実験でも、同様に放射線に対する保護作用が確認されたそうです。

以上の結果から、ギンコバエキスが放射線照射によるフリーラジカルや過酸化物質を中和し、放射線によるダメージを低下して細胞死を抑えることが示唆されました。
今後ヒトを対象とした詳しい研究が必要ですが、ギンコバなどのハーブ由来の抗酸化物質が、抗がん療法の副作用低減に威力を発揮することが期待されます。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

  • facebook Share
  • Tweet
  • LINE

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします

カテゴリ一覧