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ビールの成分が、前立腺がんの予防に効果
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(265)

忘年会シーズンが近づいてきましたが、ビール党に朗報です。
ビールに含まれている成分が、
将来前立腺がんの治療に使われるようになるかもしれないという話題です。
この成分はホップに含まれているフラボノイド類のキサントモール(xanthohumol)といわれるビールの苦味成分です。

今回の研究で、この成分が前立腺がんを起こす男性ホルモンのテストステロンを抑制することが明らかになりました。

これはハイデルベルクにあるドイツがん研究センターのClarissa Gerhauser氏らが米国ヒューストンで開かれた米国がん研究学会で発表したものです(2009, Dec. 9)。

以前の研究でも、キサントモールは女性ホルモンのエストロゲンがその受容体に結合するのを抑制することから、乳がんの予防に効果があると考えられてきました。

今回の研究では、まず試験管内の実験でホルモン依存性の前立腺がん細胞にテストステロンを添加したところ、前立腺がんのマーカーである前立腺特異抗原PSAの分泌が高まることを確認しました。次に、これにキサントモールを同時に加えたところ、このPSAの分泌量の上昇が抑えられることが明らかになりました。
そしてその効果は、キサントモールの添加量に依存して強まっていたそうです。
またキサントモールは、テストステロンレセプターに結合してPSAの産生を抑制することも、別の実験で明らかになっています。

さらに去勢したラットを用いて、キサントモールとテストステロンを同時に注射したところ、キサントモールが前立腺に対するテストステロンの悪影響を抑制し、前立腺がんの予防に有用であると考えられました。

また、この実験では前立腺そのものの重量は変化しなかったことから、キサントモールは前立腺組織の遺伝子発現やホルモンのシグナル機構に対して抑制作用を示すと考えられています。

ただし残念ながら、今までの疫学調査ではビールを飲む人に前立腺がんが少ないという報告はないそうです。

したがって、ビールそのものを飲むことが前立腺がんの予防になるとは考えにくく、特にビールをすすめるわけにはいかないと研究者は述べています。

そして今回の結果がそのままヒトにも当てはまるかどうかも、今後の研究で明らかにする必要があると結んでいます。

ということですので、今後の研究の進展に期待することにしましょう。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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