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「バイアグラは、高血圧の人の心臓を守る?」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(259)

ご存知のように、バイアグラは男性の勃起不全改善薬ですが、最近このバイアグラの持つ潜在能力が明らかになりつつあります。
今回は「バイアグラの薬用成分であるシルデナフィルが、マウスの心筋の働きを助ける」という記事をご紹介します。
これは、臨床研究医学誌The Journal of Clinical Investigation(January, 2009)に、ジョンスホプキンス大学医学部のDavid Kass博士らが報告したものです。
実験そのものはマウスを用いたものなのですが、このところ高血圧で心臓疾患を併発する人が多くなっていますので、その効果が期待されています。

研究者らが人工的に作成した高血圧症のマウスを用いて調べたところ、通常マウスの体に存在する心臓のポンプ機能を保護するRGS2と言われる蛋白や、情報伝達を行うGシグナル蛋白2などの調節因子を欠損させると、マウスの90%が肥満状態になり、その半数が心臓疾患で死亡することが分かりました。

一方、RGS2が正常なマウスでは、このような心筋が拡張する心臓肥大症の発生が抑えられ、体重が増加したマウスもわずか30%で、マウスは健康状態を保っていたそうです。
次に、このような正常なRGS2を持つ高血圧マウスに、バイアグラ成分のシルデナフィルを投与したところ、さらに心臓肥大の頻度が低下し、心筋収縮能力がより強まることが明らかになりました。
実際このようなマウスでは、ストレスを抑制する酵素の活性が約10倍高まっていたそうです。なお、RGS2を欠損したマウスに対しては、シルデナフィルは全く効果がなかったということです。

以上の結果は、シルデナフィルがRGS2蛋白に作用し、心臓ポンプの効果を高めることを示しています。すなわち、バイアグラ成分であるシルデナフィルが、高血圧による心臓のダメージを予防するというわけです。

もちろん今回の結果はマウスの実験ですので、今後詳しく調べる必要はありますが、シルデナフィルを用いた新しい心臓治療法になるのではないかと関係者の間で話題となっています。

ということですので、日陰者のバイアグラが、世の中で堂々と使われる日も近いようです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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