アンチエイジングニュース

「口紅には、鉛が多く入っている。」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(232)

ローマ帝国では水道管に鉛が使われていたため、慢性的に鉛中毒者を発生させ滅亡の遠因になったという説があります。本当は鉛が原因ではないようなのですが、鉛と聞くとすぐその話を思い出してしまいます。

さて、鉛はお化粧の材料として昔から使われており、顔に塗るオシロイや口紅にも含まれていました。現在市販の口紅にも鉛が含まれているものが多くありますが、これらの口紅に含まれる鉛の濃度はこれまで報告されていたよりも高いことから、注意が喚起されています。

これは消費者団体Campaign for Safe Cosmeticsが、科学誌「Journal of Cosmetic Science(化粧品科学)」〔2009年7/8月号〕に掲載したものです。
今回の研究では、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)と呼ばれる技術を用いて、口紅22種類(いずれもレッド系)を評価しました。
その結果、口紅に含まれていた鉛の平均濃度(1.7ppm)であり、菓子類に定められた基準上限(0.1ppm)の10倍を超えていることが分かりました。
特に3社の製品には、かなりの高濃度の鉛が含有されていたそうですが、ブランド名については明らかにされていません。
なお2007年に同団体がおこなった結果によると、米国で販売される33のトップブランドの口紅の半数に検出可能な濃度の鉛が含まれ、菓子類での基準0.1ppmを超えるものは11種類だったそうです。
この結果を元に、米国の化粧品等の規制を行うFDA(米国食品医薬品局)は、口紅の鉛濃度を最小限に抑えるための基準を設けるべきだと提言しています。

しかしFDAの見解によると、「口紅は局所的に使用するもので、体内に摂取されることは偶然の場合だけで、その量は極めて微量であるため、安全性に問題はない」とし、今回検出された鉛濃度は、他の保健機関などが推奨する化粧品の鉛濃度の上限よりも低いと述べています。
化粧品およびパーソナルケア製品の業界団体もこれに同意していますが、その一方で、医学専門家は蓄積した場合の胎児や小児での鉛の長期的な影響について懸念を示しています。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、小児については安全な血中鉛濃度の上限が特定されていないため、小児の鉛への曝露は厳重に管理するか、或いはいっさい避けるべきだとしています。

ちなみに、鉛を長期間摂取して体内に蓄積した場合、ヘモグロビン合成を阻害して貧血の原因になったり、消化器症状、神経症状が生じたりします。
また、急性中毒では嘔吐、腹痛、ショックなどを示す事がわかっています。

・・・と云うことですので、口紅を使用される方はご留意を。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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