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「肥満の人は心疾患になりにくい」って本当?
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(223)

肥満は心疾患の重大な原因の一つですが、同時に、肥満は心疾患を抑制することが
以前から専門家の間でよく知られています。
このような、「肥満の人は心疾患になりにくい」という説は、肥満パラドックスと呼ばれるものです。
しかしそれをよい事に、「肥満は悪い事ではないので、気にする必要がない」などの間違った考えを持つ人もいるようです。

そこで今回、米国オクスナーメディカルセンターのCarl J. Lavie博士が、米国心臓病医学誌Journal of the American College of Cardiology(2009, May Issue)に改めて、この肥満パラドックスの問題点を指摘しています。

肥満パラドックスとは、以下のようなものです。
肥満そのものは心疾患の強いリスク要因なのですが、
その一方で「高血圧や冠動脈の閉塞あるいは末梢動脈障害などが発症した後では、
肥満体型の患者さんの方が痩せ型の患者さんよりも、予後の経過が良好」という現象が知られています。
しかし、このパラドックスを誤解し、「肥満の心疾患患者さんは特に減量する必要はない」というような誤った解釈をして専門家も多くいるようです。

今回の報告は心疾患患者25万人を対象とした40の研究のデータを再検討したもので、「心疾患の患者さんで予後経過がよいのは、
体重を減らそうと努力をした効果による
」としています。
そして、このパラドックスに対して幾つかの問題点を指摘しています。

1)肥満の人は早期に医師の診察を受ける機会が多く
  そのため早期に治療しているため。
2)肥満の人ほど、疾患と闘うエネルギーの蓄えが大きい
3)肥満の人はそもそも肥満でなければ心疾患を発症しなかったはず。
4)やせた人が心疾患に罹患するのは別の理由があるためで、
  重症になる可能性が高い。

即ち、心臓疾患の予後がいいのは、肥満を治そうとすることがその理由であり、
肥満対策をしないなどはとんでもない間違った考えである、と結論しています。

もしあなたも「肥満も悪くない」などの考えをお持ちでしたら、是非ご訂正を・・・。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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