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「なぜ、インフルエンザは冬に流行するのか? その理由が明らかに!」――ハセ博士のヘルシー情報最前線(180)

 いよいよ、インフルエンザのシーズンです。
 インフルエンザウイルスそのものは一年を通じて存在しています。では、なぜ冬に流行するのでしょうか?

 これについては様々な説がありますが、今のところ、次のような説が最も信じられています。

 毎年新たなインフルエンザの流行は中国からはじまりますが、その際、まずニワトリのインフルエンザウイルスがブタに感染し、ブタの体内で遺伝子組み換えが起こって新しいタイプのウイルスができあがると考えられています。
 そして、その後ブタから人に感染して、人間の間にインフルエンザが広まるというものです。

 そのためには、ニワトリ、ブタ、人間が濃厚な接触をする必要がありますが、中国では家の中でニワトリ、ブタを飼うことが多く、特に寒い冬場には家の中でお互いに接触する機会が増えることが考えられます。これがブタからインフルエンザウイルスへ感染するきっかけになるということです。

 確かにその様な感染経路も無視できませんが、今回それとともに、ウイルスを覆っている外膜に脂質が多く含まれるために、冬場にはウイルスの外膜が固くなり、そのため人から人へ伝播しやすくなるという新説が報告されました。

 そして、この外膜はウイルスの安定性に関係しており、外界が暑くなるとこの外膜が溶けて伝播力が低下するというものです。

 これは、米国NIH小児研究センターのJoshua Zimmerberg 博士らが明らかにしたもので、 Nature Chemical Biology誌(2008,March 2)に報告されたものです。

 この研究では、核磁気共鳴装置を用いて、ウイルス外膜の温度による構造変化を調べました。

 その結果、ウイルス外膜は主にワックス成分やコレステロールなどの脂質で、低温ではこのウイルスの脂質部分が固化することが分かりました。
 一方、温度が上がるに連れて、脂質部分が溶解するようになりました。

 すなわち、低温だとウイルス粒子が安定化していますが、人の身体に侵入すると体温でその外膜が溶け、身体の内部にウイルスが侵入しやすくなるということです。

 春や夏のシーズンでは、ヒトからヒトへ伝播している最中にウイルス外膜が溶けるため、ウイルスが人に感染する前に死滅するのだそうです。

 この研究結果から、石けんを用いて手洗いをすれば、単にウイルスを洗い流すだけでなく、外膜の脂質部分を溶かして、ウイルスの感染力が低下するとされています。
 インフルエンザを予防するために手洗いが励行されますが、単にウイルスを洗い流すだけではないということですね。

 さらに、特異的にこの外膜を溶解する方法が開発出来れば、インフルエンザの流行をなくすることが出来るのではないかと期待されています。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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