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「手術後の癌の転移は、ストレスや恐怖感を少なくすることにより抑えられる」――ハセ博士のヘルシー情報最前線(175)

癌は転移がなければ、それほどこわい病気ではありません。
外科技術の進歩により、ほぼ完全に病変部のみを除去することができるからです。

しかし、癌摘出手術の問題点として、手術後に急に癌転移が促進されることがあります。
一旦転移が起こると、もはや手がつけられなくなるので、この癌転移を抑えることが近年の癌治療法の重要な課題です。

今回、癌除去手術の後の転移には、精神的なストレスが大きく影響していることがわかりました。
そして、このようなストレスを減らすと、転移も起こりにくくなることが明らかになりました。
今後の癌療法に強いインパクトを与えるものと期待されますので、その話題をお送りします。

これはテルアビブ大学心理学部Shamgar Ben-Eliyahu教授が、脳関連医学誌the journal Brain, Behaviour, and Immunity(2008, March issue)に報告したものです。

手術後の精神的なストレスは、免疫系に強く影響することはよく知られていますが、医学関係者の間では、そのような心理的な面はあまり注目されていませんでした。
むしろ免疫力の低下は、手術による物理的なダメージによるものであると考えられていた訳です。

そこでこの研究者は、精神神経免疫学と呼ばれる新しい学問領域に注目し、手術後の精神的なストレスが重要ではないかと考え、調査をしたのだそうです。

実験として、担癌動物から癌の切除手術を行う際、アドレナリンなどのストレスホルモンの分泌を抑制した場合における手術後の癌転移の頻度を調べました。

その結果、通常のストレスホルモンを分泌した場合に比べて、ストレスホルモンの分泌を抑制すると癌の転移が抑制されること、また癌切除手術後の生存期間も2-3倍に延長することがわかりました。

これらの結果から、手術の前後での心理的なストレスが免疫機能に悪影響を与え、免疫力を低下させて癌転移を促進させるとしています。

従って、癌摘出手術などの強いストレスが起こる際には、なるべく精神的にリラックスして、ストレスホルモンの分泌を抑えることが癌の転移抑制に重要で、その様なケアを取り入れるべきであると結論しています。

今回の結果は、動物モデルを用いたものですが、今後2-3年以内にヒトを対象とした臨床試験を開始するということです。

一日も早くその効果が実証され、癌のケアに取り入れられることを切に祈ります。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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