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がん初期診断の誤診率――ハセ博士のヘルシー情報最前線(132)

 先日、私の友人が「がん」で亡くなりました。
 つい数ヶ月までは、一緒にお酒を飲み交わしていたのに残念でなりません。
 そして、ご家族の事を考えると、いたたまれない気持ちになります。

 さて、未だにがんは死因の一位で、難敵の病の一つです。しかし、最近の医学の進歩のおかげで、早期発見すると以前ほど恐れる必要はなくなってきています。
 実際に、早期診断技術の進歩には、目を見張るものがあります。

 ところが、カナダ、中国および米国の研究チームによる調査で、ガンの初期診断での誤診率が非常に高いことが明らかになりました。

 米ピッツバーグ大学医学部病理学教授のStephen S. Raab博士らが、がん関連医学誌Cancer(オンライン版、2005, Nov. 10)に報告したものです。

 これは2002年から行われている調査プロジェクトで、がんの誤診率を低下させ、検出率を改善するため、米国の中部大西洋岸および中西部地域の4施設を対象とした調査です。

 この調査報告によりますと、がん患者さんの12%が初期段階で誤診を受け、そのために、再検査、治療の遅れ、医療費の増大、患者さんの不安の増大など、おおきな問題を引き起こしている事が分かりました。

 誤診の原因として挙げられたのが、誤った組織や血液の標本採取と病院検査室での誤った結果判読の2点です。つまり、誤診の原因のほとんどが検査ミスということになります。

 この結果から、誤診発生の監視基準を作り、発生頻度や原因、誤診の影響を施設間で比較する、統一した評価システムを設ける必要性が訴えられています。

 また、年間12万8,000人の米国人が誤診による損害を被っているとして、医療団体に誤診の評価基準、およびガイドラインの確立を積極的に支持するよう働きかけています。

 幸いなことに、そのようなケースはほぼ例外なく、医師が再検査を要すると判断しているため、がんの適切な診断が可能という事です。

 しかし、ガンの可能性があるというだけでも本人や家族は大ショックです。
 誤診率が極力低下する事を、願って止みません。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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