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肥満になると低下する――ハセ博士のヘルシー情報最前線(117)

 糖尿病などになっている肥満の人は長期間記憶力が低下することが知られていますが、その理由についてははっきりとは分かっていません。

 ところが今回、セントルイス大の研究者らが「肥満になると記憶力が低下するのは、食欲に関係するホルモンの分泌が減少することと強い関係がある」との報告をしていますので、お知らせします。

 これは、セントルイス大医学部Susan A. Farr博士らが明らかにしたものです。

 肥満に関連したホルモンは、レプチン(Leptin)と呼ばれる脂肪細胞から分泌されるホルモンで、おなかがいっぱいになるとこのホルモンが分泌されて、食欲がなくなります。

 ところが、肥満症の人は食欲を調節するレプチンの作用が悪くなっているため、おなかがいっぱいになっても食欲が落ちず、そのため食べすぎてカロリーオーバーになり、肥満を引き起こすとされています。

 今回の研究では、マウスを用いてレプチンが学習や記憶にどのような影響を与えるかを調べました。

 まず、正常なマウスについて、迷路を用いて学習能力や長期間記憶を調べたところ、レプチンを投与された場合にはこれらの知能能力が向上することが分かりました。

 次に、脳内にアルツハイマー病の原因と考えられているアミロイドβたんぱくが蓄積し、記憶力や学習能力が低下した変異マウスを用いて、同様の実験をしました。

 その結果、レプチンを投与した場合は正常マウスの場合と同様に記憶力や学習能力が向上しており、特にアミロイドβが蓄積していたマウスの場合はそれが顕著だったそうです。

 このことから、レプチンは脳に影響し、記憶力などの向上に有効であると結論づけています。さらに、老化してアルツハイマー症状を発症したマウスは、より低容量のレプチンでその効果が認められたということで、今後アルツハイマー治療にも重要な知見となりそうです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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