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ストレスの多い生活と乳がんの関係――ハセ博士のヘルシー情報最前線(100)

 生活をする上で、出来ればストレスのない方が望ましいと思うのですが、逆にストレスの多い生活をした方が乳がんになりにくいという話題です。

 これは、コペンハーゲンにあるデンマーク国立衛生局のNaja Rod Nielsen博士らが、英国医学雑誌(British Medical Journal.2005)に報告したものです。

 研究では、コペンハーゲン市で行われた心疾患に関する研究に参加した6689人の女性を対象に行なわれました。

 研究は1981~83年に開始したのだそうですが、その時点での心配事の多さや忍耐が必要なこと、緊張の度合い、不眠などの日常のストレスについて調査し、次いで1999年までこれらの人の健康度を追跡調査しました。

 その結果、この18年間に251人が乳がんになり、その中で特にストレスが強いと感じていた女性は、ストレスをあまり感じないとした女性より40パーセントも乳がんになる確率が低いという結果が得られました。

 このストレスのレベルを6段階に分けて解析したところ、レベルが高くなるごとに約8パーセントずつ乳がんの発生率が低下していたということです。特にホルモン補充療法を受けている人はその差が大きかったとされて
います。

 この結果から研究者らはストレスが乳がんの発生因子であるエストロゲンの分泌を抑え、結果的に乳がんのリスクが低下したのではないかとしています。

 そして、ホルモン補充療法を受けているホルモン感受性の女性は、ストレスによってエストロゲンの抑制効果がより強く表れたのではないかと述べられています。

 海草を食べると乳がんになりにくくなりますが、その理由として体内のエストロゲンの量が下がったためとする説があります。今回のストレスについても、それと同様の効果があるというわけです。

 ただ、このような考えは今のところ単なる仮説であり、今後さらに詳細な研究が必要なのですが、もし本当ならばストレスも決して悪いことばかりでないことになります。だからといって過度にストレスを感じる生活がよいというわけではありません。例えばストレスの多い生活は心疾患などの疾病のリスクが高くなることがよく知られています。

 どのようなストレスが乳がん発生の抑制に効果があり、またどのようなストレスが心疾患の発生に関係するかなどの研究が待たれます。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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