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風邪でのどが痛い時に薬は?――ハセ博士のヘルシー情報最前線(73)

 風邪の季節です。のどが痛い、頭痛がする、という人が多くなっています。あまりひどい時はお医者さんに行けばよいのですが、お医者さんの処方に問題がある場合が多いという報告がありました。米国での調査結果なのですが、日本でも心配ですのでお知らせします。

 風邪などによるのどの痛みは、医院などを訪れる小児の6パーセントに見られるほどのごくありふれた症状です。この原因はライノウイルスやコロナウイルス、アデノウイルスなどのウイルス感染が中心なのですが、それに対する処方はウイルスには無効でA群ベータ溶血性レンサ球菌(GABHS)にのみ有効な抗生物質が投与されており、無意味な投薬が非常に多いという警告です。

 これは米Harvard大Brigham and Women’s病院のJeffrey A. Linder氏らが、医学誌JAMA(Journal of American Medical Association, 2005, Nov.9th; title: Antibiotic Treatment of Children With Sore Throat)に報告したものです。

 この調査は1995~2003年に行なわれた2件の大規模全米医療調査を分析したもので、のどの痛みを訴えて医院などを訪れた3~17歳の小児4158人を対象にしています。

 咽頭炎か扁桃炎、連鎖球菌性咽頭炎と診断された患者さんで、キチンとした検査後でも抗生物質が処方されたのは57パーセントだったそうです。また、検査を受けなかった場合には実に73パーセントが抗生物質の処方を受けていました。

 レンサ球菌(GABHS)に感染している頻度は全体の15~36パーセントなのですが、この値を大幅に超える患者さんに無意味な抗生物質が処方されていることになります。このような抗生物質の処方は単に無駄なだけでなく、副作用などのリスクを考えると、そら恐ろしい現状です。

 抗生物質の過剰な使用は、耐性菌を増やし、医療費の高騰をもたらす原因にもなります。正確な検査結果に基づいて抗生物質を適切に処方し、無意味で弊害のある処方が極力減ることを祈らざるを得ません。

ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している

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