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健康に効く話(27):足の痛みを軽く考えないで(1)

 83歳のAさんが右足に痛みを感じるようになったのは今から20年前のこと。たまに膝の後ろやふくらはぎにだるさや重い痛みを感じていましたが、あまり気にしていませんでした。

悪化した痛みの正体

 その後、足の痛みは少しずつ強くなってきましたが、整形外科では骨粗鬆症があるものの「痛みとは関係がない」と診断されました。しかし、痛みはさらに悪化し、趣味のゴルフにも支障が出るようになりました。

 ボールを打ち終わってから歩き出すと右足が痛くなり、とてもつらいのです。しばらくすると痛みが消えるので、何とかやりすごしていましたが、やがてちょっと歩くだけで痛みが出るようになり、別のクリニックに診てもらったところ、大学病院の血管外科を紹介されました。

 そこでの診断は「閉塞性動脈硬化症」というものでした。Aさんはあ然としました。Aさんの足の痛みは骨や筋肉の障害ではなく、血管の病気だったのです。血管の壁に脂肪がたまり、血管が狭くなったりつまったりする動脈硬化が足に血液を送る末梢の動脈に起こるもので、60歳以上の男性に多く、年々増加しています。

動脈硬化と関係

 しかし、この病気は一般の動脈硬化のようにはあまり知られていません。このため、病気が分かった時はかなり症状が進行しているケースも多いと言われます。実際Aさんもたびたび人間ドックで「下肢の動脈硬化」を指摘されていたそうですが、精密検査を勧められることはなく、深刻なものだという意識はありませんでした。よもや「足の痛み」が動脈硬化と関係しているとは思わなかったそうです。

 さる12月5日、大塚製薬の主催で行なわれたプレスセミナー「閉塞性動脈硬化症(ASO)は全身の動脈硬化性疾患」では、この病気の治療における第一人者である東京医科大外科学第二講座主任教授の重松宏先生が次のようにコメントしていました。

早期発見こそ

「発見が遅ければ、壊死に陥って足を切断するような深刻な事態も起こってきます。また、閉塞性動脈硬化症のある人は、手足に限らず体中の血管が動脈硬化を起こしているケースが多い。放置しておけば命に関わる虚血性心疾患や脳血管障害を引き起こす可能性があり、早期から全身管理をしていく必要があります」

 しかし、この病気は早期発見できれば薬物治療や外科手術による治療が可能です。Aさんも閉塞した動脈の先に血が流れるようにするための外科手術を行ないました。その後、足の痛みはなくなり、楽に歩けるようになりました。Aさんの例から、「足の痛み」が続いたら、放置せず、きちんと原因を探る必要があると言えそうです。

参考資料:「閉塞性動脈硬化症(ASO)は全身の動脈硬化性疾患」報道用資料

狩生聖子
狩生聖子=医療ジャーナリスト。著書に『ぐっすり眠る! 37の方法』(宝島社新書)など

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