アンチエイジングニュース

 私は日本の社会や文化をおかしくしているものが2つあると思っています。1つは自動販売機であり、もう1つがコンビニです。もちろん、どんな社会が求められるかはその社会を構成する人々の選択の問題であります。

 自動販売機は都会といわず農村といわずいたるところに置かれていて、お金を入れると、夏は冷たいものが、冬は温かいものが出てきます。手軽で便利ではあります。
 ただ、米国ではニューヨーク等都会には自動販売機がありますが、田舎では滅多に見られません。欧州もそうです。

 欲しいと思っても手にはいらない時は手にはいらない、という時間帯があっていいのではないでしょうか。

 自動販売機の電気の消費量は相当なものです。人工的で無機質な外観は街の光景を破壊します。こんなにいたるとろに24時間本当に必要なのでしょうか。

 コンビニも同様です。終日営業をしているのは米国でもごく一部です。ベルリンやロンドンにもコンビニはありますが、いつでも開いているわけではありません。

 コンビニは確かに便利な存在です。ですが、コンビニで弁当を買えばいいと思ってしまうと、家庭で料理を作らなくなります。子供や夫、あるいは自分自身のために弁当を作る行為は尊いものです。そもそも、食は家庭の基本なのです。それを、単に便利だからとコンビニに食を委ねてしまうのは、大事なことを忘れてしまっていると言わざるを得ません。

 家庭の基本を破壊し、場合によっては家族が一緒に食事をする機会をも破壊し、日本の社会や文化のありようを変えているその象徴的存在が自動販売機でありコンビニだと言っても言い過ぎではないでしょう。

 私たちは豊かな時代を生きていますが、もったいないという思いや、ほしいものがすぐには入手できない時に耐えるという姿勢がないと、強く優しいしなやかな精神は育ちません。

 これからの日本は高齢者が増えます。これはいい機会だと私は考えています。高齢者は早寝早起きが基本で、きちんとした食事を摂って健康管理に努めなければなりませんから、自動販売機やコンビニの必要性が減少するからです。

 高齢者が社会の重しとして位置することで、落ち着きのある成熟した社会や町並みを取り戻すことができる好機になりうると私は期待しています。

幸田正孝理事
幸田正孝=AAN理事、社会福祉法人恩賜財団済生会理事長

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