アンチエイジングニュース

アレルギーになりにくい女性――ハセ博士のヘルシー情報最前線(54)

 日本に限らず世界中で、特に先進国と言われる国では、花粉症をはじめとしたアレルギーが最近大問題になってきています。このアレルギー疾患について興味深い報告がありましたのでお知らせします。

 女性が子供を多く作れば作るほど、アレルギー症状が出にくくなることが最近の研究で明らかになったというニュースです。

 このところアレルギーの人が多くなったのは、生活環境での衛生状態が改善したためであるという説があります。この説は、アレルギーの人はIgEと言われる免疫を司る抗体の産生量が少ないことから考えられたものです。そして、衛生状態の改善により子供時代に寄生虫などに感染しなくなったため、大人になってからも免疫物質のIgEが少なくなっていて、アレルギー症状が出やすくなっているというものです。これは“衛生仮説”と呼ばれるもので、この仮説では社会や各家庭の衛生状態が重要ということになります。

 今回報告を行なったのは、イタリア・ローマのFrancesco Forastiere博士らで、医学雑誌アレルギー誌(Allergy, 2005, April)に発表しました。

 研究では、イタリア北中央部に生活している35~74歳の非喫煙女性1755人について、家族数と母親のアレルギーとの関係を調べました。

 その結果、子供がいない、あるいは1人しかいない女性は、アレルギー症状の出る頻度が約30パーセントだったのに対し、4人以上子供を持つ女性は16パーセントに低下していることが分かりました。また、直接のアレルギー症状以外の関連症状についても、36パーセントが17パーセントにまで低下していたそうです。

 この結果を説明するには、いくつかの考え方があると思われます。例えば、妊娠は体内に自分自身とは異なるもの(子供)が宿ることですので、妊娠すると女性の免疫応答に変化が起こる、あるいは妊娠すると体内の炎症―抗炎症因子のバランスが変化してアレルギーになりにくくなることが考えられます。

 また、子供を多く生むために母親の体のバランスが崩れやすくなり、そのため免疫反応に影響を与える、あるいは多く子供がいると母親の栄養状態が変化することも関係している可能性があります。

 そして、“衛生仮説”と同様に、子供が多いと家庭内の衛生環境が悪くなり、寄生虫などの感染しやすくなることも考えられます。

 しかしいずれにせよ、家庭内に子供が多くいて、かつアレルギーになりにくいのなら、幸せな母親だと思えます。

ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している

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