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排気ガスを妊娠中に浴びると――ハセ博士のヘルシー情報最前線(51)

 車の排気ガスは呼吸器系疾患や花粉症を含む各種のアレルギー症状を悪化させることはよく知られています。

 ところが今回、妊娠中に排気ガスなどを吸い込むと、胎児の遺伝子に変異を起こさせ、出産後の子供ががんになりやすくなるという怖いお話です。

 これは、米国立衛生研究所(NIH)の一部門である米国立環境保健科学研究所などの研究で明らかになったものです(タイトル:Mothers’ Exposure to Air Pollutants Linked to Chromosome Damage in Babies)。

 研究では、ニューヨークの低所得者居住地区ハーレムに住む非喫煙者の妊婦さん60人について、車の排気ガスやタバコの煙などに含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)の影響を調べました。

 妊婦さんが妊娠中の第3期に携帯用モニターを装着してもらい、浴びたPAH濃度について調べ、次いで妊婦さんから生まれた新生児の染色体の検査を行なったそうです。

 その結果、妊娠中に浴びたPAH濃度が低かった母親から生まれた新生児は、染色体異常が白血球細胞1000の中4.7だったのに対し、平均値以上の高用量を浴びた母親から生まれた新生児は7.2と高くなっていることが分かりました。

 この結果から、妊娠中に車の排気ガスやタバコの煙などを多く浴びると、胎児の染色体異常が増え、子供に発がんの危険が高まるとしています。

 この研究を行なった米国Columbia Center for Children’s Environmental HealthのFrederica P. Perera博士は「本研究は、大気汚染が胎児の染色体を変性しうることを示している。別の研究成果から、このタイプの遺伝子変性ががんリスクを増加するマーカーであることが分かっているため、このエビデン
スは深刻だ」と警告しています。

 さらに厳しい排ガス規制の必要性を感じますね。

ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している

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