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乳ガン予防に有効?!――ハセ博士のヘルシー情報最前線(42)

 乳がんの患者さんが増加しており、日本でも大きな問題になっています。特に米国では社会的な大問題で、生活様式や環境、食べ物などの見直しが叫ばれているところです。

 さて、以前からアジア人女性、特に日本人女性が、米国の女性よりも乳がんにかかる頻度がかなり低いことが知られており、その原因のひとつに「日本人は海草をたくさん食べるからである」という説があります。実際、日本ではお寿司やみそ汁などでよく食べます。このような海草が乳がんに対する強力な対抗剤となっているのではないかというわけです。

 そこでカルフォルニア大学のChristine Skibola氏らは、これを実証するために東洋食と西洋食を比較し、乳がん発生への影響を調べて、栄養学会誌(Journal of Nutrition, 2005, Feb.2)に報告しました。

 研究はラットを用いた実験で、重症の月経障害となったラットに海草サプリメントを投与しました。なお、実験では、日本のわかめや昆布と近縁のbladderwrackという海草を用いました。

 24匹のラットを3群に分け、一群には70ミリグラム、ほかの一群には35ミリグラムずつ毎日海草を与え、残りの一群には海草を与えなかったそうです。ちなみにこれらの量は、日本人の海草の摂取量に匹敵するものです。

 その結果、当初は平均4.3日だった月経周期が、4週間後には37パーセントの月経障害ラットで長くなって正常に近づき、70ミリグラム投与群では5.9日、35ミリグラム群では5.4日となっていました。その際の血中のエストラジオールを測定したところ、開始時には血液1リットル中48.9ナノグラムだったものが、4週後には36.7ナモグラムにまで低下していました。

 人の卵巣細胞を用いた実験でも、海草のエキスを加えた場合には細胞のエストロゲンレベルが低下していたそうです。

 これらの結果から、海草を投与すると月経周期が長くなって正常となり、エストロゲンレベルが低下することにより、エストロゲンが原因となる乳がんの発生が抑制されることが期待できるとしています。

 研究者によると、海草が細胞のエストロゲン受容体に作用してエステロゲンの拮抗阻害を起こし、体全体のエステロゲンの量を減少させたと考えられるそうです。

 しかし、実際に人を対象としていないので、その結果がそのまま人間に当てはまるかどうかはさらに研究が必要と思われます。

 乳がんの専門医は、この結果からすぐに海草サプリメントを推奨すべきでなく、まずは乳がんを抑えるために正しい食事を心がけ、40歳を過ぎたらマンモグラフィーでの検査を受けることが重要であると注意しています。

 海草には大量のヨードが含まれており、摂りすぎると甲状腺機能低下症などの危険性が高まりますので、もう少し様子を見た方が賢明のようですね。

ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している

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