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肥満女性へのピルの効き目――ハセ博士のヘルシー情報最前線(35)

 国内では経口避妊薬低用量ビルが医師の処方が必要な「要処方せん薬」として認可されており、女性が自らの意思で避妊する道が開けています。

 実際にピルを服用される方は多くなっていますが、今回は避妊希望の人でも体重オーバーや肥満の人は避妊効果が弱くなっていることが分かったというニュースです。

 これはシアトルにあるFred Hutchinson癌研究センター(Fred Hutchinson Cancer Research Centre)のVictoria Holt博士らが、Obstetrics and Gynaecology誌に報告したものです。

 研究者らは、ピル使用中に妊娠した女性248人とピル使用で妊娠しなかった533人について、BMI(Body Mass Index)を比較しました。

 ご存知のようにBMIは、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗したもので割った数値で、一般に体重オーバーの人はBMIが25、肥満は30以上とされています。

 その結果、体重オーバーの人はピルの効き目が悪くなって、妊娠する率が高く、BMIが27.3以上ではその傾向がさらに顕著なことが分かりました。実際、過体重の女性はピルの効果が悪く、妊娠率が60パーセント以上高くなっており、肥満の人は70パーセント以上だということです。

 避妊ピルは通常99パーセントの有効率があり、妊娠を100人中1人以下にまで抑えることが出来るとされていますが、過体重の人では100人あたり2~4人にまで増加していたそうです。

 理由として、体重が多くなるにつれて相対的に血中のピル成分量が低下して効き目が悪くなったか、あるいはピルによって分泌されるホルモンのレベルが肥満のために十分量にはならないなどの可能性があるそうです。肥満の人は肝臓にある薬物代謝酵素が多いために、ピル成分が分解されやすくなっていることも考えられるということです。

 薬の量は、通常の体格の人を対象として決められていますので、体重が多い人は当然薬の効き目が悪くなる場合が考えられます。しかし今のところ、個人個人の体重などを勘案して薬が処方されることはまれです。

 このようなパーソナルメデシン(オーダーメイド医療)が完成するまでは、自分で体重などを適正にしておいた方が何かとよさそうですね。

ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している

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