アンチエイジングニュース

 こんにちは、皆川です。前回の記事、いかがでしたか?

 アトキンズ・ダイエットには、いささかガッカリ、というより、アトキンズ博士にだまされたような気分になられた方もいらっしゃるかもしれません。

 「ローカーボ(低炭水化物)・ダイエットなんかもうやめたー!」っと叫んでいるあなた、でも、ちょっと待って下さい。

 今回の記事を読むと、また考えが変わるかもしれません。

米国の動き

 低炭水化物ダエットが従来の低脂肪ダイエットに比べて減量や血中コレステロールレベルを下げる効果があるかどうか、アメリカでは政府が資金を出して研究しているようです。

 また、アメリカ糖尿病協会(America Diabetes Associstion)では、低炭水化物ダイエットが糖尿病のコントロールに役立つかどうかを調べるための研究をしておりますが、この研究ではアトキンズ・ダイエット法を採用していません。

 理由は、その研究の参加者にケトーシスという状態を起こさせるのは好ましくないと考えているからです。

 さらに、アメリカ心臓協会(American Heart Association)は、低炭水化物ダイエットによる体重減少は短期的には示されているものの、長期的にどうか、これからきちんと検証していく必要があるとの慎重な姿勢を取っています。

 そして、こちらの方は、私が前回述べたように、低炭水化物ダイエットはどうしても高タンパク食・高脂肪食となるが、そうした食生活を続けていれば心臓の冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)や糖尿病、脳卒中、がん発症のリスクが高まることについても言及しています。

 さて、ここまでは、前回のお話の趣旨と何ら変わりがありません。

 問題は、ここからです。

文献から見えてくること

 ここ数日、こうした主張を裏づけるような研究データがないものか、文献を探していたのですが、実は見つからないのです。

 出てくる論文出てくる論文すべてが、アトキンズ・ダイエットを含む低炭水化物ダイエットが従来の低脂肪ダイエットに比べて減量のうえで効果的であることを証明したものばかりなのです。

 それに加え、心臓病の発生リスクについては、高まるどころか、逆に抑えられていると報告している論文もいくつも見つかったのです。                  

 全く意外でした。

 日本では、低炭水化物ダイエットと低脂肪ダイエットの効果を比較した研究の報告がなされていないのですが、『ダイエットを医学する』という本の著者として知られる東京医大の蒲原聖可先生が論文を出されていました。

 その内容をまとめると、以下のようになります。

・このような研究の報告がなされるようになったのは2002年以降と、まだ比較的最近である

・当初の予想に反して、低炭水化物ダイエットの方が、低脂肪ダイエットよりも減量効果が大きく、リバウンドもしにくい

・低炭水化物ダイエットには、脂質代謝改善効果も見られる。すなわち、中性脂肪値の顕著な低下、総コレステロール値の低下が認められている

・アトキンズ・ダイエットのような超低炭水化物ダイエットの場合、不整脈の発生に注意が必要である。理由は、脂肪が分解されて生じる遊離脂肪酸によって不整脈が誘発される可能性がある。しかしながら、これまでの報告では、遊離脂肪酸やケトーシスによる障害は報告されていない

・アトキンズ・ダイエットのような超低炭水化物ダイエットは、これまでの報告では必ずしも心血管系の病気(心筋梗塞など)の発生リスクを高めるとは考えにくい。むしろ、中性脂肪やコレステロール値を下げいているため、心血管リスクを改善しているとさえ考えられるが、まだ議論のあるところである

・低炭水化物ダイエットによる早期の減量効果は、体脂肪の減少ではなく体内の水分移動の結果にすぎない

 以上のようになります。

 私が文献を調べた限りでは、まだ長期にわたって、このダイエットを続けた場合の報告が見当たらず、1年が最長でした。

 1年間フォローしたこの報告によれば、6ヵ月目までは低炭水化物ダイエットの方が減量効果は優れていたが、1年後には従来の低脂肪ダイエットを行なったグループと減量効果の点で差がなくなっており、どちらの場合も、平均4パーセントの体重減少にとどまっています。

低炭水化物ダイエットの実像

 従って、現時点で言えることは、低炭水化物ダイエットは従来の脂肪の摂取を抑えるダイエットより減量効果はありそうだ。ただし、開始後6ヵ月までという短期間で見た場合、ということです。

 また、これまで危惧されてきたような心血管リスクについては、必ずしも高まるものと決めつけることはできない。むしろ軽減される可能性が示唆されている、ということです。

 いずれにしても、長期の研究がなされていないため、今後の研究の成果が待たれるところです。

 明日から、またアトキンズ・ダイエットやそのほかの低炭水化物(ローカーボ)ダイエットを始めてみますか?


皆川俊一=東京の西の方にある診療所の院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定リウマチ医


現在のドクター皆川(写真上)
ダイエット前のドクター皆川(写真下)

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