アンチエイジングニュース

 こんにちは、皆川です。

 前回は、低インスリンダイエットに励んでいる方々をがっかりさせるような記事でごめんなさい。

 でも、うまい話には気をつけないといけないのかも知れません。

 では、本題に入ります。

 今回は、予告通り、アトキンズ・ダイエットに関するお話です

 まずはじめに、アトキンズ・ダイエットのことをあまりご存じない方のために、その方法について簡単にご説明いたします。

アトキンズ・ダイエットの魅力

 このダイエット法は、食事中の炭水化物の摂取量を極端に減らすことで、ケトーシスという状態にし、体に必要なエネルギーを、体内の脂肪の分解によって獲得していこうという方法です。

 この方法の魅力は、脂質やタンパク質はいくらとってもいいんですよと言ってくれている点です。

 つまり、通常行われている摂取カロリーを減らすダイエットでは、お肉やお魚、油などは当然制限しなければなりませんが、このダイエット法は、良質のものであれば、これらはいくら食べてもいい、太らないのだ、と言ってくれているのです。

 当然のことながら、アメリカ人でなくても飛びつきたくなるようなダイエット法です。

 前回ご説明しました低インスリンダイエットとは、炭水化物を減らすダイエットという基本のスタンスは同じですが、若干違う点があります。

 低インスリンダイエットがGI値を食材選択の指標としているのに対し、アトキンズ・ダイエットの方は、炭水化物の量を基準にしていることです。

 アトキンズ・ダイエットを説明する本の中にはGI値という言葉は出てきません。

 そして、もうひとつの違いは、「ケトーシス」という、体にとって極限とも言える状態にまで体を追い込んで行なうダイエットか否かという点です。

 アトキンズ博士はその著書の中で、アトキンズ・ダイエットにおけるケトーシスは決して危険なものなどではない、としきりにその論拠を示しています。しかし、大方の専門家は否定的です。

 すなわち、前回お伝えしましたように、心筋梗塞や狭心症などの心血管系の病気やある種のガン(大腸ガン乳ガンなど)の発生する危険性が高まることが危惧されているのです。

「ケトーシス」「ケント体」って何?

 さて、今回皆さんに知っていただきたいのは、「ケトーシス」とか「ケトン体」って一体何なのかということです。

 アトキンズ・ダイエットの話になると、必ずこの言葉が出てくるのですが、じゃあ、それが何なのか、ということについては、通常あまり説明がなされていないように思います。

 では、まずケトン体の説明です。

 正常な状態では、脂肪が分解されると、それによってできた物質はクエン酸回路という、いわば細胞の中のエネルギー産生工場の中に入り、どんどん燃やされます。

 その結果、体が必要とするエネルギーが作られるわけです。

 ところが、糖質の供給が不十分な状態では(つまり、アトキンズ・ダイエットを行なった時の状態ですね)、クエン酸回路というエネルギー産生工場がお休みモードに入ってしまうため、脂肪の分解産物は別のところで処理されるようになるわけです。

 この別経路で処理された結果、できてくるのがケトン体と呼ばれているものなのです。

 ケトン体というのは、ひとつの物質ではなく、次の3つの物質をまとめて指している言葉です。

 アセト酢酸、アセトン、β(ベータ)ヒドロキシ酪酸

 これらの物質は、正常な状態ではほとんど産生されることはありません。

 糖質の供給が不十分な状態が続くと、体の中に溜まってきます。その結果、血液の中のケトン体の濃度も上昇してきます。尿の中にもたくさんのケトン体が出てくるようになります。そして、吐く息の匂いが、いわゆる「アセトン様臭気」という特有の臭気を帯びるようになってきます。

 このように、ケトン血症、ケトン尿、アセトン臭という3つの徴候を備えた状態を「ケトーシス」と呼んでいるのです。 

 アトキンズ・ダイエットは、まさにこの脂肪燃焼経路を活用して脂肪の分解を図るダイエット法と言えるでしょう。

2つの疑問

 しかし、このお話、一見もっともそうに見えますが、ちょっと疑問が生じます。

 <疑問その1>

 クエン酸回路というエネルギー産生工場は、糖質がどんどん供給されている時の方が活発に稼動している。そのため、脂肪の分解産物も、糖質が供給されている方が燃えやすいはずだ。つまり、脂肪の燃焼にとって糖質は必要なものだ。

 <疑問その2>

 アトキンズ・ダイエットでは、ケトン体を優秀なエネルギー源と見ているフシがある。確かに、ケトン体のひとつであるアセト酢酸は、心筋・骨格筋・脳ではエネルギー源として利用されるが、大部分は尿中に排泄されてしまう。

 以上のことから、アトキンズ・ダイエットって、本当に効果あるの? と言ってみたくもなるのですが、いかがなものでしょう?

アトキンズ博士は……

 ちょと長くなりましたが、最後にもうひとつだけ。

 2002年4月、アトキンズ博士は路上で滑って頭を打ち、昏睡状態となり、亡くなったそうですが、亡くなった時の、身長・体重が公表されています。

 身長6フィート(約180センチメートル)、体重258ポンド(約117キログラム)

 この数字から、肥満の指標であるBMIを計算すると、いくつになると思いますか?

 ちなみにこの数値が30を超えているようだと、かなり肥満です。

 アトキンズ博士の場合、何と36.1だったのです!

 しかも、生前は血圧が高く、心臓病の発作を起こしたりもしていたと言われています。

 <今日のひとこと> 

 ダイエットの権威・アトキンズ博士はデブだった。


皆川俊一=東京の西の方にある診療所の院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定リウマチ医


現在のドクター皆川(写真上)
ダイエット前のドクター皆川(写真下)

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