アンチエイジングニュース

 こんにちは、皆川です。

 病院で定期的なチェックを受ける気になった方、いらっしゃいますか? それとも、低インスリンダイエットをやめようと思った方はいっらしゃいますか?

 まあ、「GI値の低い食材さえ選べば、何でも好きなように食べてOK」とか「リバウンドの心配はない」、「運動も必要ない」なんてキャッチフレーズ、やっぱり誰でもひかれてしまいますよね。

 私もその1人でしたが……。

 このキャッチフレーズって、まるで何かの商品を売り込む時の文句と一緒ですね。例えば、「このソフトさえ買えばあとは勝手にパソコンが稼いでくれます。あなたは永久に仕事から解放されます。何も努力する必要はありません」なんていうのと、どこか似ていませんか。

エーッ! ウッソー!

 では、本題に入ります。

 今回は、低イインスリンダイエットに関する文献を読んでいて、私自身が「エーッ、ウッソー」と思った内容について、お伝えいたします。

 糖尿病の世界的権威である順天堂大の河盛隆造教授によれば、なんと、タンパク質や脂肪もりっぱなインスリン刺激物質だ! ということです。

 エーッ! ウッソー!

 低インスリンダイエットの本によれば、糖質だけがインスリンの分泌を刺激するんじゃなかったの?

タンパク質をいくら摂っても太らない?

 だから、タンパク質や脂肪を摂っても、インスリンの分泌が刺激されるんだんたら、肉や魚、バターや油など、どんどん摂っていいって言ってたの、ウソなの?

 アトキンズ・ダイエットなんかでは無制限に食べていいってことになっていたはずだけど、本当はダメなの?

 では、これから、その理由を説明していきましょう。

 河盛教授は、肉を摂取した時の糖代謝を調べるために、アルギニンというアミノ酸を持続静脈内注射して、その時、生体に起こる反応を調べました。

 アルギニンを注入しても、正常な状況では、血糖値は変化しませんでした。

 だから、アミノ酸(タンパク質を構成しているもの)を摂取しても、血糖は変化しない
     ↓
 従って、インスリンの分泌は刺激されない
     ↓
 だから、脂肪が取り込まれないので太らない
     ↓
 だから、タンパク質(肉や魚)をいくら摂っても太らない

 ――と考えるのは大間違いなのです。

 実は、アミノ酸の刺激によって、グルカゴンというホルモンの分泌が刺激されていました。

 グルカゴンというのは、インスリンと同じく、すい臓から分泌されるホルモンですが、作用はインスリンと逆で、血糖値を上昇させるホルモンです。

 では、グルカゴンが分泌されると、どうなるでしょう。

 肝臓にグリコーゲンという形で蓄えていたブドウ糖を血液中に放出します。

 あれ?

 さっき、アルギニンというアミノ酸を注入しても、血糖値は変化しなかった、って言ったはずでしょ。

 その通り!

 それって、ちょっと、変じゃないですか?

 いいえ、変じゃありません。

 実は、グルカゴンの分泌だけが刺激されたのではなくて、インスリンの分泌も同時に刺激されていたのです。

 そのために、血液中に放出されたブドウ糖は、インスリンの作用によって脂肪細胞に取り込まれてしまい、見かけ上、血糖は変化しなかったのです。

 ちょっと頭の中が混乱しそうな方がいらっしゃるかもしれません。

 ここで理解していただきたいのは、タンパク質を摂取した時には、実は、インスリンとグルカゴンという2つのホルモンが分泌されるということです。

 そして、両者のバランスが取れていれば、血糖値は見かけ上、変化しないということです。

甘い誘惑にご用心を

 さてさて、ここからが問題です。

 ダイエットをしてみようと思う肥満の方や運動不足の方の場合、概してインスリンの分泌が悪かったり、分泌されてもその働きが悪かったりすることが多いため、同時に分泌されるグルカゴンの作用の方が優位になってしまうのです。

 従って、この場合は血糖値は上昇します。

 つまり、正常な方が摂取した場合には血糖値があまり上昇しないような食物でも、これからダイエットしようと考えているような肥満者が摂取した場合には、血糖値の上昇が見られる可能性があるということです。

 ですから、ダイエットを考えている人にとっては、「GI値が低い」と書かれている食材を食べても、実際には太ってしまう可能性があるのです。

 従って、「肉はいくら食べても大丈夫」などという甘い誘いの言葉に乗って、焼肉屋さんで力一杯食べたりすると、その後は悲惨なことになるかもしれません。

 私は、何度も、経験があります(涙)。

 以上のことは、タンパクに限ったことではなく、脂質についても当てはまります。

 つまり、脂肪分の多いものを食べれば、インスリンの分泌が刺激され、これまで説明したのと同じことが起こってしまいます。

 ちょっと長くなりましたが、結局のところ、糖質だけ避ければOKという考え方は、かなり怪しそうだということです。

 いかがでしたか?

 夢のような、お気楽ダイエット法を期待している方々には、誠に申し訳ない結論に到達してしまい、何とも心苦しい次第であります。


皆川俊一=東京の西の方にある診療所の院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定リウマチ医


現在のドクター皆川(写真上)
ダイエット前のドクター皆川(写真下)

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