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ハセ博士のヘルシー情報最前線(8):メラトニンが「時差ぼけに効果」は本当?

 

 メラトニンは脳の松果体から分泌され、睡眠サイクルを調節するホルモンです。分泌量は夕方から高まって睡眠へと導き、明け方には低下して起床の準備を促すとされています。このため、メラトニンは睡眠を助ける効果があり、特に時差ぼけの予防や改善によいとして、人気があります。

 ところが、最近の調査によると、メラトニンに睡眠障害を改善する効果はなく、ある特定の条件下でしか効き目がないそうです。

 これはカナダ・アルバータ大学Terry Klassen博士らが報告したものです。

 米空軍予備役兵に、5日間にわたって眠気を抑える徐放性カフェインを飲んでもらい、その後に5ミリグラムのメラトニンまたはプラセボ偽薬を摂ってもらいました。

 次に7時間の時差がある、テキサス州からフランスまで、休憩時間を取らずに飛行してもらいました。

 着陸後に睡眠サイクルが正常になっているかどうかを調べたところ、メラトニン摂取した群とプラセボ偽薬を摂った人との間には変化が見られず、やはり日中には強い眠気を感じたそうです。

 また、カフェインを飲んで眠気を抑えた群だけでなく、ストレスを感じての不眠にも効果がなかったそうです。

 その一方で、眠りにつくのに時間がかかったり朝の起床にトラブルがあったりする人などが抱えるある種の睡眠障害には、短期間ですがメラトニンの効果が認められました。

 以上の結果を見ると、昨年はじめに報告されたような、メラトニンが時差ぼけの改善に有効であるという報告は疑問で、「メラトニンの効果は限定的で、通常使用される夜間勤務や時差ぼけなどには効果がなく、ある種の睡眠障害にのみ使用するのがよさそう」ということになります。

 今回の研究結果はメラトニンを短期間使用した場合の結果ですので、長期間摂った場合の効果も調べル必要があると思います。(ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している)

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