アンチエイジングニュース

「教育レベルが高い人ほど、アルツハイマー型認知症の進行スピードが速い」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(420)

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
それでは今年最初の健康情報です。

超高齢化社会の訪れとともに、認知症の方が本当に多くなってきました。
しかし、痴呆症状は出たものの、ある程度で納まっている方がいらっしゃる半面で、頭脳明晰な方が突然発症し、見る見るうちに痴呆症状が悪化されてしまう方もいらっしゃいます。
不思議に思っておりましたところ、教育水準の高い人はアルツハイマー病の発症そのものは遅いのですが、いったん症状が現れ始めると、認知能の低下速度が速まることが報告されていましたので、お知らせします。

これはコロンビア大学医療センターのNikolaos Scarmeas博士らが医学誌Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatryに報告したものです。

調査では65歳以上ですでにアルツハイマー病と診断されているニューヨーク在住の312例を対象に、5年間以上に渡って追跡調査をしたもので、その間に脳の諸機能を調べました。

その結果、全体では認知能は1年あたり9%の低下することが分かりました。

次に教育歴との関係を調べたところ、教育を受けた期間が1年長くなるごとに、1年あたりの認知能低下スピードが0.3%ずつ速くなっていました。

特に、思考過程の速度(1年あたり0.6%)および記憶(同0.5%)に最も強い影響があったということです。

この結果から、教育水準の高い人は脳細胞の数が多いか、あるいは脳のシステムやネットワークが効率的になっていると考えられ、このため脳の一部が破壊されてもそれに対処する余裕があるのですが、このような人では、それまでに脳の変化が蓄積しており、臨界点に達した段階で一度に崩壊が起こり、急速に悪化すると考えられるそうです。

ではどうしたらそれを防げるかが重要となりますが、教育歴に限らず、何時までも頭を使い続けるのが有効のようです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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