アンチエイジングニュース

「過ぎたるは及ばざるがごとし:運動しすぎは健康に悪い」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(395)

「運動のし過ぎは健康に害を及ぼす」と警告する2件の研究報告書が、英医学誌ハートに掲載されていましたので、お知らせします。

最初の報告は、心臓病の患者1,038人を対象に10年間追跡した調査結果で、「毎日熱心に運動する人は、運動を週2~3回だけする人に比べ心臓発作や脳卒中で死亡する確率が2倍以上」であるとしています。
なお、全くあるいはほとんど運動しない人では、死亡の確率が最も高かったとされています。
この報告にショックを覚えた人は大勢いるようです。

現在の健康ガイドラインでは、心臓病の患者は(健康人と同様に)週に5~7日間運動するよう提唱されているからです。

また、もう1つのレポートでは、「持久力を高める運動は心房細動のリスクを高める」と報告しています。

この心房細動は脳卒中を引き起こすリスクを大幅に高めるものです。

これらの報告書は、「低レベルから適度の運動は、ほとんどすべての病気の発生を大きく減らす。そして運動量が多くなればその効用も増す」との通説に異議を唱えるもので、マラソンなど持久力を高める運動の効能について論争が起こりそうです。

ちなみに最近発表された集団調査報告でも、「適度な運動が寿命を大幅に伸ばすが、その効用は過度の運動になると消滅する」とされています。

そして今回のハート誌では、「座っていることが多い人に対しては、運動を奨励しなければならない。だが、『もっとたくさん』は必ずしも『もっと良くなる』とはいえないようだ」と結論しています。

そういえばヨーガの先生は、「スポーツは健康になるためではなく、健康な人がするものだ!」と、いつも話されていました。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

  • facebook Share
  • Tweet
  • LINE

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします

カテゴリ一覧