アンチエイジングニュース

9月19日(土曜)、スタジアムプレイス青山にて、「カロリスジャパン」主催の「カロリス2009」というイベントが開催された。カロリスとはカロリー・リストリクションの略称。つまり、食事の摂取カロリーを制限することである。カロリスを実践することが、老化防止に繋がるという報告が話題となっており、今アンチエイジング研究界では大注目!名誉会長である日野原重明先生も当然カロリスを実践している。これは見逃すわけにはいかないと、記者も意気込んでイベントに参加した。

★どうして食べないほうが長寿になるのか?

そんな疑問を抱きながら、カロリスジャパンのチーフメディカルアドバイザーを務められる坪田一男先生の「実践!アンチエイジング」講演会を拝聴。坪田先生によると「老化は生物学的プロセスなので、医学的な介入によって、長く元気に生きられるようにできる」というのだ。まずは、カロリス仮説から説明が始まった。

マウスやサルの動物実験では、タンパク質、脂質、炭水化物に加えて必須ビタミン、微量のミネラルなどの栄養分を確保しながら総摂取カロリーを通常の65%程度に落とすことで、寿命が長くなるというデータが得られている。これは、カロリーを十分に摂取している状態よりもカロリス状態の時に、遺伝子を守り細胞の寿命を延ばそうとする作用=サーチュイン(Sirtuin)と呼ばれる酵素が活性化するためだろうと考えられている。
さらに、サーチュインは運動により活性化されることも動物実験において実証されている。運動はアルツハイマーの予防にも効果的だそう。例えば、動物園にいる象の寿命は平均16歳。アフリカで自然に生きる象の寿命は平均40歳以上と3倍以上。これは運動量の違いに加え、ストレスなどの影響も考えられるそうだが、象のBMI値(体重と身長のバランスをチェックして外見的な肥満度を調べる指数)を測れていないので、明確なことはわからないそうだ。
カロリス、運動に加え、アンチエイジングに必要なサプリメント、GI値(血糖値の上昇率を表す指標)の低い食品、なぜ人は食べてしまうのかといった遺伝子の話など、解説がテンポ良く続いた。同時に、スクリーンには坪田先生が実践されている、日々のトレーニングの様子、選びぬかれたサプリメントについての説明や、最近の食生活がわかる映像が映し出され、その度に、会場からは驚きや感嘆の声があがっていた。

★ごきげんに生きること

サイエンティフィックなエビデンスに基づく内容であったが、長生きの最大の秘訣は「ごきげんに生きること」と坪田先生。修道院において、修道女100名がつけていた日記を調査した結果を例に挙げられた。日記から「今日はいい日だった」「いい出会いがあった」などのポジティブな言葉と、「今日は失敗ばかりだった」「気分が悪い1日だった」といったネガティブな言葉をカウントし分析した結果、ポジティブな言葉を多くつづっている修道女のほうが2.5倍長生きしたそうだ!また、ごぎけんな人は集まるというデータもあるそうで、類は友を呼ぶことは科学的に証明に済みなのだという。
また、ごきげんな顔とふきげんな顔では、顔の筋肉の動きも変わってくるそう。ふぎげんな顔をしていると脳にまで不機嫌な血流が増えてしまう。「わざとでいいから笑おう!」と坪田先生。カロリス、酸化ストレスを排除し、運動をしてご機嫌に生きることで、加齢のメカニズムに対抗することができるという。実に多くを学ぶ講演会であった。

★目指せ!センテナリアン―

坪田先生の講演後、ゲストとして今年の5月で101歳を迎えられた「渋木重太郎さん」が登場。長寿の秘訣はという質問に「健康の秘訣ですか?個人差がありますよ。私は100歳までタバコを吸っていましたし、お酒は今も毎日のんでいます」との答えに、会場からは思わず笑いがおきた。「好きなものを食べて、好きなように生きることです」、さすがに説得力がある。付き添いの娘さんからも「101歳の父と97歳の母は今でも夫婦喧嘩していますよ。出て行け、離婚してやるって(苦笑)」と、こちらまでごきげんになるエピソードをいくつもお話くださった。
講演終了後に行われた交流会では、シャンパンに加え、今話題のレストラン「農家の台所(国立ファーム)」提供の野菜スティックがふるまわれた。生まれてはじめて目にする紫色のオクラや、生しめじをおそるおそる口にしてみると、なかなか味わい深い。色が濃いだけに、栄養価も高いという。

体の中から健康になり、人が長く、そして元気に生きるために、カロリスをはじめとする、科学的な証拠に基づいたアンチエイジング医学のお話に加え、坪田先生ご自身が実践されている「ごきげんな」カロリスライフに、大いに刺激を受ける1日となった。ストイックには無理だが、出来ることから取り入れてみたいと思う。

(AAN WEB編集部・熊本美加)

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